それは神様でも
　　たぶん知らなかった

　　　　　　　──　hound dog





何か言ひ残すかのやう春の雪

やがて散る花もたしかな今を咲く

鶯や健やかに季のめぐり来る

さぼる蟻どこかの誰かさんに似て

親燕遮るもののなき空に

空に咲き空に散る花揚花火

いまさらにさらば青春薄暑光

遠き日に灯る思ひ出螢籠

掃除する指先香り山椒の実

仔猫ゐる家に貼り紙「犬注意！」

人来るを大事に思ひ草むしり

緑蔭や椅子に母と子ひと休み