ダラガーヤ
リつ

鈍い太陽が
虚ろに光っている
もう夕方が近かった

私は太陽が欲しいとも
月が欲しいとも
言ったことがない

半ば濃い暗闇の中
目が慣れるまで
じっとしているのが好きだった


その夜は
風邪気味なので
さゆをのんだせいか
薄暗がりの部屋で
ふと
羊水に浮かぶ赤ちゃんを思った

孕まなかった私の子供
その子が産まれていたら
子猫みたいに愛くるしい瞳をくるくるさせながら、
「あたち、おちゅきちゃまがほしいの」
と指差しただろうか?
「取ってぇ、取ってぇ」
と泣いただろうか?


私は思い出の娘に微笑みかけた


また今度ね。
おやすみ、ダラガーヤ


自由詩 ダラガーヤ Copyright リつ 2025-05-23 21:42:54
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