キツネ目の人
花野誉


真夜中

自転車で無理矢理二人乗り

皆を出し抜いたみたいになった

どこでスイッチが入ったのだろう

タイプではなかった気がする

連れ去られるように走った尼崎の街

我が物顔で私の中に入ってきたから

きちんと真面目に

一生懸命応えたけれど

言い訳と会えない時間

人伝の噂で腑に落ちた

どんなに泣かれても説得されても

心はスイッチオフ状態


あなたには他にも

持っている花がいくつもあるでしょう

私を惜しむことがあろうか


夜明け前

清々しい気持ちで

助手席のドアを閉めた









自由詩 キツネ目の人 Copyright 花野誉 2025-05-23 14:49:53
notebook Home