まくら
唐草フウ

(君のようにわたしはなれない)

星の流れるさみしいよるには
悲しみも流して、染ませるから
雨のはげしく叩くよるには
聴こえない子守唄を うたおう
花火の終わった白けた
夜空のした
醜く尊いすがたを見つめる
切なげなフォルムで
時を待つもどかしさに掴ませて
知恵熱の晩には
時を忘れる夢を見てね

何もない 真っ暗闇に
何もないというしあわせを あたえる
浮足立つ 期待とドギマギを包む
きまぐれな幻を あたえる
風の息が止まるような前夜に
息が詰まりそう 抱きしめて


走ってもたどり着けない砂の上にいたら
いくらでも 殴られる
投げられる
サンドバッグになる

命のはじまる その瞬間
立ち会い 離れられずに
心置きなく思い出になれる


さようならの夜には
打ち明けささやきあおう

「君の知らないときに
 君はいつも許してくれたね」


(君のようにわたしはなれない)






自由詩 まくら Copyright 唐草フウ 2025-05-22 21:43:44
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