黒百合
おやすみ
もう、
すべてを、
すべてのことを、
忘れたつもりで、
笑ったり、
チーズケーキ食べたり、
おしゃべりしたり、
音楽聴いたりしてるけど、
ふとした時に、
夜、
電車に揺られている時、
朝、
雨が降り続く時、
思い出す、
ゆるせてない、
まだゆるしてないよ、
私、
あなたは、
これからも、
私の知らないところで、
私のことを忘れて、
何も知らずに、
生きていく、
生きていくとは思うけど、
私の胸にはまだ、
憎しみがある、
殺意だってある、
まだゆるせない、
ゆるさない私を、
情けなく思う私もいる、
いるけれども、
まだこんなにも、
怒りが、
力が残っていることに、
快感、
を覚える私もいる、
私は、
私が望むなら、
何だって出来る、
あなたを◯すことも、
私の想像の中で、
あなたは身震いする、
気が触れるほどに、
震えて、
ゆるしを請う、
請うても、
過ちは、
もうつぐなえない、
私の胸の、
黒百合は、
毟っても、
毟っても、
暗い地下に根をひろげ、
絡み合い、
はびこる、
まだ咲いてる、
胸の底、
あなたを、
ゆるさない。