濡れた鉄塔を越えて
瓜田タカヤ

濡れた鉄塔を越えて

そのままの振動で
ゆがんだステンドグラスを割らないように命は膨張する
このふしだらを運転する技師は
都市にいる幼児のみに聞こえる歌を
アドリブで歌う。

朝刊を配る少年の精子は
常に死の臭いがして眩しい

自由を知ろうとする誇張はゴーストバスターズを否定し
光が吹き出す現象をを否定する
彼らの持つ嘘の兵器でなければ
ゴーストはバストされないの

エロビデ女の顔には常に精液と真理が付着し
ほぼ自我を持つアリの固まりを
存在の強い輪郭に吐き出し、自分がいることを認知する

昭和のビアガーデンの臭い
屋上で落下しなさそうなパイプ椅子
雨でビニールをかぶりながらも光を放つネブタ
紫煙のミッドナイト
狂人が
人生ゲームでパブテスマを受ける場所に何度も止まる
空気中で粉末状の光にあえぐ

暗闇で8人の男
私は筋肉質な身体を探す
彼は愛する人では無いと思う

それでも彼を抱き留める
光の指し示す方向は
いつでも意志とは無関係

それでも濡れた鉄塔越えて
私はアナタを探し出す。


自由詩 濡れた鉄塔を越えて Copyright 瓜田タカヤ 2005-05-29 04:18:28
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