綺麗事
花形新次

私が若かったとき
あなたはとても美しかった
美しいあなたに
偶然街で出会ったとき
私はそれまで
言おうと思っていた
言葉を言うことが出来ず
僕のこと覚えている?
としか口に出来なかった
あなたは少し残念そうに
首を縦に振っただけだった
残念そうに見えたのは
私の思い込みでしかなかったかも知れない

他に伝えるべきことは
沢山あったのに

後悔はいつの間にか
諦めとともに
綺麗事に変わっていく






自由詩 綺麗事 Copyright 花形新次 2025-05-11 11:44:49
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