破綻
凪目

バターでできた巨大な彫像は
やすりがけされたぼくの舌で
みんななめされてしまった
地上は地獄の業火につつまれる
ここでページはおわっている
なんてかなしいんだろう
かんかんの俎上でぺらぺらのクレープが跳ねる
こわばって遠くまで引きつる電線を引っこ抜いて
ぼくのために永遠に苦しむぼくをもうひとりつくった
部屋に森を移植して
小さな球体は拡大すれば無限みたいだ
無限ってなに 移植ってどうやるの 球体ってどんなかたち
しゃぼん玉みたいなことだよ
映して 膨らんで 還るもの
ところで
みんながあなたの話をしている
あなたはいつもわたしを抱いてと
叫んでいる人に犯されている
あなたは証書を自慢したり
渇くばかりの塩水を飲み干そうとして
ぼくは焼けただれるまで焼却炉に耳を押し当てていた
うーん この鍋は熱すぎて
誰にも持てないみたいだね
そうかよ
全部めちゃくちゃになればいい
誰かがどこかでありったけ泣いている
だいじょうぶだよ
だいじょうぶじゃなくても
だいじょうぶじゃないことが たしかなのだから
たしかなことがひとつあるなら 大丈夫
すみれの花が咲いている


自由詩 破綻 Copyright 凪目 2025-04-23 17:52:48
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