闇蟲(ムシ)喰い
栗栖真理亜

煌々と部屋を照らす明かりからふと視線を反らすと
ふかい闇が眼の前に現れた

〝不安〟という名の蟲が漆黒の鎧を身に纏い
私の肌を這いまわる
精神(いのち)は闇に侵食(オカ)され喰い尽され
堪えきれぬ悪夢(ユメ)の重さに
今にも消えかかろうとしている
まるで暗闇の風に揺れるロウソクのように

あぁ、どうしようもない寂寥感が込み上げてきて
僕を責め立てる
救われる事のない輪廻を何度も何度も繰り返す
僕の浅はかさ

さぁ、僕を追いかけては嘲笑い
覆い尽くす闇の使者よ
僕の心臓を一呑みしようと企むなら
どうぞこの身体ごとくれてやろう
貴方の目前に身を投げ出して
時の渦のなかへと揉まれよう

僕がボクである限り何事も畏れず
憂いも哀しみも全て吸い取ってやるから


自由詩 闇蟲(ムシ)喰い Copyright 栗栖真理亜 2025-04-22 20:00:14
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