深夜の紅茶
大町綾音
「かもみーる」
よるのじかんはやすらぎで
かもみーるのかおりただよう
あなたはじょうねつてきな
おさかな
さんごの海のなかを
じゅうおうむじんにおよいでくる
なんて……
かもみーるのかおりただよう
よるのげんそうなのでした。
「手をふりほどいて」
あなたの手をふりほどいて
わたし、あなたのこときらい
あなたのこときらい
あなたのこときらい
あなたのことすき
でも、ほんとうはどっちなのか
どっちもなのか
わからないの。
手をふりほどいて
手をふりほどくまで
「さいけでりっく」
まやくのような、って
まやくをのんだことはないよ
でもわかるんだ
きっとわかるんだ
あのまぼろしを見られるのが
まやくのようなくすりなんだって
でもぼくはそんなくすりのまないよ
だからあのまぼろしを見ることもずっとない
だから、君をすきなことにずっと気づけない。
ぶろっくくずしのようにがけくずれして、
じょうねつがからからとおとをたてても、
けっしてきえたりしないよ?
そんなまほう。
これはまやくじゃないんだからね
これはひかりで
これはこころのかおりなんだから
きみのことけっしてわすれないよ
ほっきょくとなんきょくであいしあおう
ほしがふってくるからね。