文兄さん
鏡文志

皆さん、お元気ですか?
暖かくなってきましたね。私は相変わらず作業所で頑張って働いて、周りから好評価を得てもいます。

兄が精神病院に入院して二年になる。
恐らくもう、助からないだろうと思われる。
悪いのは兄だけの問題ではない。
私を幼少期からいじめ続け、それに比べたら微々たる罪でようやく逮捕のち、精神病院に入院したお兄ちゃん。死んだ後、弔辞で読む言葉を探し、色々書いていたが、先日十年以上前に亡くなったある叔父のことを思い出し、これを弔辞の際サプライズとして読んで使うことに、決めた。
それと、兄の好きだった私に教えてくれたロックミュージックにつけた意訳詩を載せてお話の結びにしたいと思う。


弔辞 三男○○

文兄さんへ。文兄さんは、みんなのために死んだよね。
借金抱えて周りから責められて、どうしようも亡くなって…
僕はずっと思ってたんだ。
エゴイストばかりの親戚の中で、みんなのために生きて死んだ人が、一人でもいたかって。
文兄さん、いつも笑顔でサーヴィス精神を忘れず、みんなに優しかった。

……こんなバカに弔辞なんか読んでも、仕方ない。
さようなら、バカお兄ちゃん。

……ありがとうございました。



『最果て唱歌(The Birds/We’ll Meet Again意訳』


さようなら、あの縁、この縁
また晴れた日の朝にて
君の手振れる思い出 青空暗い雲飲み込め

そう、だからこそ 辛くてもこの時を
大切に、生きるの さあ、歌いましょう

この歌、届け 届け
愛する人の元まで

みんなで笑え 笑え
深い悲しみの底で

雨の中、ススメ ススメ
幸せくるその日まで

もう、慰めも涙さえ、要らないと
闇の中、目を閉じてさあ、歌いましょう

人は皆、時に迷い
夢が叶うその日まで



最果て唱歌 Youtube URL

https://www.youtube.com/watch?v=qzmlzd7Whik&list=RDqzmlzd7Whik&start_radio=1


散文(批評随筆小説等) 文兄さん Copyright 鏡文志 2025-04-12 22:50:21
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