ウェザー・リポート
nm6

君と僕は天気予報をしよう。小さな声で。今日のことで明日のことを考えるので、植物がのびるようにそのまま続いていくから、おぼろげな勘でいい。


ウェザー・リポート、ウェザー・リポート。スープはトマトで、ギターはテスコだ。おぼろげな相槌でいい。大雨が降ってトタン屋根がカタカタ、バタバタ。ちょっとそそのかされたくらいの、それでいい。ウェザー・リポート。トタンカタカタバタ、バ、ババカトスタラタ、タカタバタンスタラタ。


例えば今晩は雨が降っていて、それでもいい音楽でビールを飲んでいるので、明日は曇りのち晴れだ、とか、その程度でいい。無駄口の按配だ。申し子が全速力だ。句読点はいらない、とりあえず吐き出して、逃げ出せばいいのだ。ウェザー・リポート?嘘をついてしまってもいい。何が拠り所でもいい。水の音が素敵だ。記憶なんて書き換えられて曖昧なので、気分だけ憶えていよう。冬の雨の午後2時の暗闇。夏の晴天の午後7時の夕焼け。


モノに対して恋モードでもいい。束縛が糧になってもいい。脱却すれば天気の記憶だけになる。共有なんかしなくていい。土に還る気分でいい。花壇の土に必要なことは枯れた植物を取り除くことだ。コーヒーを飲もう。捨てたものがどこへいっても構わない。


肯定しよう。
僕は肯定しよう。
君は逃げ出せばいい。
ウェザー・リポートはもうやめだ。


自由詩 ウェザー・リポート Copyright nm6 2003-12-01 12:58:27
notebook Home 戻る