大政翼賛化する日本現代詩人会
室町 礼

昭和初期、戦争前夜
戦争を煽る新聞社や知識人、政治家に対して今のよ
うなSNSがあったとしても批判など、とてもできなか
っただろうし、周囲から白い目で見られたでしょう。
でも、もし許されるものなら多くの目覚めた人たち
は郷土や親しい人のためにも、言えるだけのことは
言いたかったと思う。
今の時代も、もうすぐ何も言えなくなる日が来るこ
とは確実ですが、少なくとも今は言える。
今なら言える。そのあいだにシツコイといわれよう
とも言っておきたい、とそんな気持ちで投稿してい
ます。
さて、
もう冗談でなくこの国、際どいところに来てます。
みなさん。平気ですか?
平気でもいいですよ。詩人なんだから。政治や世相
なんか気にしないで己の世界をつきつめて頂きたい。
詩人ならそれもありだし、評価しますよ。
神代辰巳という天才映画監督の『四畳半閨の裏張り』
は大正中期、日本が戦争へと向かう暗い世相のなか
で「紅旗征戎(こうきせいじゅう)、わが事にあらず」
とばかりに女遊びに一途に狂う男を描いているのです
が、その一シーン。宮下順子扮する芸者が江角英明扮
する女道楽しか頭にない男が待つ揚屋を尋ねると、い
きなり障子が開いて素っ裸の男が片手で桟にぶら下が
っている。そして、
「おれ、ナマケモノ~」と呵々大笑するのです。戦争?
知らねえよ、知ったことか。おれには女しかいねえ。
そういう世界を描いているのですが、それでいいので
す。女でなければ文学でもいいし、研究でもいい。
いつ太平洋戦争が始まったか知らないで研究に没頭し
ているうちに戦争が終わっていたという学者もいたそ
うです。これはたいへんうらやましい。
個人的にいうと藤原定家が『明月記』に書いた「紅旗
征戎(こうきせいじゅう)、わが事にあらず」という
杜甫の詩から引用した言明には正直、眉をひそめるの
です。
そりゃねえ、一般市民がいうのなら拍手喝采ですよ。
でもこの男、仮りにも政府(朝廷)の要人でしょ。国
の政策に責任がある。民の税集で飯を食っている輩が、
朝廷の動向を批判もせずに「わが事にあらず」とすっ
とぼけるのは間違っていると思います。お百姓さんが
いうのなら、まさしくその通りと肩を叩きますが、官
僚が寝ぼけた無責任を平気で口にするのはいただけな
い。しかしもっといただけないのは、無知な詩人ごと
きが国際政治情勢も知らないくせに国民に害を与える
ようなことを、戦前と同じく口にしはじめたことです。
黙って詩作にふけっていればいいのに、一旦、政治
的な発言をすればどこまでもその責任はつきまとう
のですよ?

 【わたしたちはロシア・プーチン大統領に起因す
  る不条理に反対し、ウクライナの人々の安全と
  平和を強く望んでいます。──日本現代詩人会
  HP運営委員会】

このような発言が戦争をもたらすことは歴史が証明し
ています。
新聞は報じませんが、現に日本政府はウクライナ戦争
真っ只中の地域に自衛隊を派遣しました。しかも極秘
裏にです。
『ウクライナ演習 海自秘密裏参加 紛争国派遣
「前代未聞」
https://www.jcp-tokyo.net/2025/0308/101703
これ「演習」じゃないですよ。黒海の戦争中真っ只
中の地域です。魚雷掃海作業をしています。
「プーチン大統領に起因する不条理」といった途端に
それはウクライナを救けるために対ロシア戦争のため
の自衛隊派遣政策を暗に後押ししていることになりま
す。「ウクライナの人々の安全と平和を強く望んでい
ます」といった途端にウクライナ以外の国民、ロシア
国民の安全と平和は棚上げされ、それはつまりロシア
攻撃を容認する言説を暗に後押しすることになります。
ほんとに今どきの詩人はバカじゃないかと思う。
何も知らないなら黙ってろ!
ウクライナ戦争がどういう思惑のもと、どのような経
過で発生したかを調べもしないで通俗的なロシア悪玉
論で政治を語るから、戦争翼賛に加担するのだ。
国会ではすでにして自衛隊のウクライナ派遣が論議さ
れている。
『どうなる自衛隊のウクライナ派遣 防衛省幹部
「頭の体操始める」
https://www.sankei.com/article/20250223-Y26SRKCWRFLVLHVM2QUWXGJBWE/
これ、平和維持部隊なんかじゃないのですよ?
今ファシズム化している欧州の実戦部隊です。
日本が戦争に強引に巻き込まれていくのは確実です。
おい! 日本現代詩人会! クズの詩人もどき!
詩人なら詩人らしく裸になって桟にぶらさがってろ!
おまえらごときが知りもしない現代政治に口出せるほど
の如何ほどの器でもないわい。
おまえらのプロバガンダに殺される前にそれだけはいっ
ておく。




散文(批評随筆小説等) 大政翼賛化する日本現代詩人会 Copyright 室町 礼 2025-04-05 08:55:04
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