雨に打たれて
栗栖真理亜
冷たい雨粒が雫となって頬を伝う時
君への想いが溢れ出す
胸元の熱い幻が僕をあの頃の記憶へと引き戻すよ
初めてふたりが出逢った時
まるで惹かれあうように見つめあった
君は優しく微笑みながら僕の瞳に言葉を刻んだ
慈しみのリズムは僕のココロに直に染み込んで
消える事の出来ぬ染みとなって残った
僕があの時一歩でも足を前に踏み出せていたら
少しは僕の人生も変わっていただろう
なのに、意気地無しな僕は自分の世界が変わってしまう事がスゴく怖くて
何もしないまま時の流れに身を任せたんだ
君は落胆するように瞼を伏せ
もう、それっきり僕のほうへは見向きもしなくなったね
分かってるんだ最初から
分かってるんだそんな事
だから今さらだけど今だから言うよ
君の側でそっと寄り添っていたいよ
君の優しい温もりを肌に感じていたい
そして君のやる気の原動力になりたい
一人の力は小さくて弱いものだけど
ふたりの愛の力はきっと
僕らが考えていたよりもずっと大きくて
温かいものだから
雨の雫が奏でるメロディもきっときっと
ふたりを祝福してくれるよ
だから、一時だけの安らぎに留まらないで
いつまでもずっと
どんな時でも手を携えて生きてゆこう
それだけがふたりに残された
最後の幸せだから