闇夜の天使
栗栖真理亜

ココロがふやけて何もかも白紙に戻ってしまった

あぁ、僕はなんて意気地なしなんだろう
額を打ち付け紅く血で染まった壁を見つめながらそう呟く

もしも、このまま君が帰って来なかったら
僕はどうしたらいいんだろう?
君は純真な翼を広げどこか遠くへ飛び立ったまま
僕の手元へは戻らない

時刻(とき)を止めたハズの空間では
古ぼけた柱時計がチックタックと時を刻んでゆく
まるで、一分一秒が僕を責め立てるみたいに

僕は耳を塞ぎ
僕の目に映る全てを無に返そうと固く瞳を閉じる
けれど、瞼の奥に広がる暗闇は
滲みながらも僕を深い奈落へと突き堕としてゆくよ

君は甘いピンク色した果実にかぶりつきながら
僕から眼をそらして偽りの楽園で優しい笑みを振り撒く
僕の頬に一筋の涙が伝い堕ちるのも知らずに

どうか、どうか、翼を傾け僕の元へと戻っておくれ

君だけが僕を光へと導く天使
たった一筋の希望

愛を語るには遅くとも
遠い温もりをたぐり寄せ
お互いの闇を確かめ合うのはまだ遅くはないから


自由詩 闇夜の天使 Copyright 栗栖真理亜 2025-03-30 23:37:30
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