禁じられた愛戯(アソビ)
栗栖真理亜

我が家のボンボン時計が十二時の鐘を鳴らし
僕は思わず顔を上げ時計のほうに目をやった

君はいまどうしてるのだろう?
柔かな布団の中で
自分の優しい温もりに包まれながら
深く安らかな眠りに就いているのだろうか
それとも、仕事場で眠い眼を擦りながら
徹夜仕事に明け暮れているのだろうか

君の事でこんなにも思案を巡らし
君の為に恋しさが募る心と体を持て余している僕が何だか滑稽で
ふとした拍子に笑い飛ばしてしまいそう

だけど、僕は君の全てを
胸の奥から見つめる為に生まれて来たんだ
この手にこの腕に
君の温もりが感じられなくたって構いやしない
ただ、僕の記憶に君を刻み込み
僕だけの永遠の恋人でいてくれさえすれば
それでいいのさ

さあ、心の隠しカメラで君を撮そう
これは僕だけの秘密

あぁ、子どもじみた楽しみを
どうか責めないで
僕という人間が
薄い網膜のフィルターを通して
君を映す鏡となり
君本来の美しさを顕現する

ねぇ?
だから言ったでしょ?
君という被写体を正確に写し出せるのは
僕しかいないって

想像するだけでこんなにも
君の一挙手一投足が
目に焼き付いていくよ
愛しさのあまり胸を詰まらせ
創られた光の世界で
君を抱きしめるんだ
その場限りの甘酸っぱい
幸せを噛み締めてね

これは、誰にも邪魔されない
僕と君、ふたりだけの
愛戯(アソビ)さ


自由詩 禁じられた愛戯(アソビ) Copyright 栗栖真理亜 2025-03-29 23:05:31
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