鎮恨歌
栗栖真理亜
君を想いむせび哭く夜は
虚しさばかりが募ってゆく
どんなに幻(ゆめ)を重ねても
君の肌の感触すら思い出せない
柔らかな波が虚構を包み込み
私の精神を浚ってゆこうとしても
白い闇が私を責め立て
まるで遠い追憶の彼方へと追い遣ってしまう
哀しみが私の頬を伝い溢れ堕ちてゆくよ
まるで氷のような冷たさで私を突き刺してゆく
どんなに世界が一八〇度覆返されたとしても
この虚しさは消えることの出来ない孤独となるだろう
どんな願いも全て無に還り
祈りさえ聞こえない部屋で
体を丸めながら暗闇に身を委せる私は
なんと醜くネジ曲げられてしまったことだろう
ただ君の光を待ち侘びながら
叶わぬ夢の寂しさを
眠りという行為で紛らわせているだけなのに
耳をすませば遠く、遥か遠くで
優しい君の声が聴こえてくるような気がして
ココロを研ぎ澄ましじっと耳をそばたてるけれど
冷たく漂う闇のなかではどんな物音すら消し去られ
無表情にしてしまう
哀しみは君のなかにも染み込んでいるだろうか
私は知りたい
君だけの真実を
それが唯一、私にとっての安らぎとなるだろう