鎮恨歌
栗栖真理亜

君を想いむせび哭く夜は
虚しさばかりが募ってゆく
どんなに幻(ゆめ)を重ねても
君の肌の感触すら思い出せない
柔らかな波が虚構を包み込み
私の精神を浚ってゆこうとしても
白い闇が私を責め立て
まるで遠い追憶の彼方へと追い遣ってしまう

哀しみが私の頬を伝い溢れ堕ちてゆくよ
まるで氷のような冷たさで私を突き刺してゆく

どんなに世界が一八〇度覆返されたとしても
この虚しさは消えることの出来ない孤独となるだろう
どんな願いも全て無に還り
祈りさえ聞こえない部屋で
体を丸めながら暗闇に身を委せる私は
なんと醜くネジ曲げられてしまったことだろう

ただ君の光を待ち侘びながら
叶わぬ夢の寂しさを
眠りという行為で紛らわせているだけなのに
耳をすませば遠く、遥か遠くで
優しい君の声が聴こえてくるような気がして
ココロを研ぎ澄ましじっと耳をそばたてるけれど
冷たく漂う闇のなかではどんな物音すら消し去られ
無表情にしてしまう

哀しみは君のなかにも染み込んでいるだろうか

私は知りたい
君だけの真実を

それが唯一、私にとっての安らぎとなるだろう


自由詩 鎮恨歌 Copyright 栗栖真理亜 2025-03-27 21:27:46
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