ほ わいと
洗貝新
ひとつだけ席を離れて座る
みんな携帯を見つめているから
混み合う電車の中には広告のチラシが
ソとシを外して窓に映り込む外は暗い
塗り立ての白い壁を見ていると落書きしたくなるのは子供たち
黒いマジックの 薄曇りな文字列
ああ 誰かが磨いた真っ白な便器で用を足すのは 気持ちいいね
踏切を過ぎた辺りから雪がちらほら 陽が落ちれば街は色づいて
和紙を濡らして雪景色を施そうと思うのだけれど ウエディングドレスのあなたが浮かばない
ほ! きみは白い便器に唾を吐けるのか
僕はティッシュに包んで そっと屑籠に棄てた