瞼の裏のあなた

あなたに会ってすぐに
夢を見ていることに気づいた
夢の中でくらい元気でいてほしかったのに
弱々しいかつての微笑み
もう二度と会えない眼差し
懐かしくて抱き寄せてもすり抜ける
夢が覚めないように祈りながら
できるだけ長く見つめようとすると
無常にも意識がふやけて
あなたが消えてゆく
視界には天井と耳には雀の囀り
現実が寂しさを掻き立てる
抱きしめられないあなたの温もりを
瞼の裏に閉じ込めた


自由詩 瞼の裏のあなた Copyright  2025-03-22 18:38:43
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