荊棘
ふるる
あなたは
とうに知っているだろう、自由に書くということの荊棘を
はるかにふかいふかい穴の奥底から
虐げられた名馬たちのいななきが聴こえる
ではただちにそれを装備し また外し解体し
組み上げ破棄し 何事もなかったように眠れ
----機構のお告げを真に受けて
数万年をも拘泥し続けることの不運を思え
水すくうことの我の忘れ
集中が途切れ 耳栓を外し 遠くへ投擲する
飛び込む車のライト
あっ
と言ったままのペン
ノーノー、落ち着いて
私たちは渡鳥ではなく鮮血のレース模様を施した蝶でもなく
鬼百合の火紛でも華口から烈しく生える硫黄でもない
ここから下がる雲のブランコ……です
「手紙を手首ごと手渡してから去ります、そうしなければならない」
「ではそうしてください。それと、よく磨かれた革靴の足で」
ふざけてはいないはずだ……と思う