荊棘
ふるる

あなたは
とうに知っているだろう、自由に書くということの荊棘けいきょく
はるかにふかいふかい穴の奥底から 
虐げられた名馬たちのいななきが聴こえる
ではただちにそれを装備し また外し解体し
組み上げ破棄し 何事もなかったように眠れ
----機構のお告げを真に受けて 
数万年をも拘泥し続けることの不運を思え
水すくうことの我の忘れ

集中が途切れ 耳栓を外し 遠くへ投擲する 
飛び込む車のライト
あっ
と言ったままのペン

ノーノー、落ち着いて
私たちは渡鳥ではなく鮮血のレース模様を施した蝶でもなく
鬼百合の火紛でも華口から烈しく生える硫黄でもない
ここから下がる雲のブランコ……です

「手紙を手首ごと手渡してから去ります、そうしなければならない」
「ではそうしてください。それと、よく磨かれた革靴の足で」

ふざけてはいないはずだ……と思う








自由詩 荊棘 Copyright ふるる 2025-03-22 15:41:23
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