街をそだてる
はるな
封筒のなかで
街をそだてる
来る日も来る日も
細かくしたえさを与えて
ある春に
耐えがたい眠気に襲われるまま
5年も、6年も
あるいは500年も眠ってしまった
春は何度もやってきて
わたしにできないことをした
そして街は全てを飲み込んで
巨大な夢になったのだ
雨も降るし、花も降る
水は流れつづけ
わたしの手には封筒が残る
そして望んでいたことを
忘れながら
だんだんと
醒めていく
自由詩
街をそだてる
Copyright
はるな
2025-03-21 20:30:00