設問
201
愛について書けば
いくらでも金が入って来る
愛について語れば
いくらでも人が付いて来る
だから私は愛が嫌い
安易だから
愛されたことがないからじゃない
愛したことがないからじゃない
醜い虚栄心を満たすために
寂しい夜を贖うために
救われない悲しみを慰めるために
世界の終わりを先延ばすために
いくらでも愛をふるまってきた
明けない夜を照らすのも
本当はそこに見えないだけの
太陽の光
必要とされているのなら
需要と供給の話
不必要であるどころか
害悪にしかならない時はどうする
私はただ
砂浜に指であいしていると
波にさらわれるまで
それを眺めているだけでいい
愛していることは
愛されていることなのだろうか
愛されていることは
愛していることなのだろうか
私はただ
そこに書かれたあいしているという言葉を
永遠にしたいだけなのだろう
神が人の運命を変えることができないように、到底無理なんだけど
愛であなたを許す
愛であなたを
愛ってなんだ
夜を照らすものも結局は私
私が呼んだ夜の闇の中で
私はあなたのことを愛していると言うのかもしれない
マッチポンプ
火をつけては消して、結局は私の仕業
不幸も幸福も
もう何も要らないと言った私の仕事
せめてあなたが右往左往しないように
丁寧に星の位置を確かめる
祈り続けた世界
あなたにもいつか分かるだろうか
星が光る意味
もしかしたら行けるかもしれない楽園のことが
金や人望を
なんに使うつもりなのか
400字詰め原稿用紙
15枚以内で
もうこの世界には
ランタンひとつ
買う金がない人ばかりだ