十六時
山人

ヒーターの三時間ごとの自動消火を知らせる音源がまた聞こえている
あれからもう三時間も経ったのだと
日の長くなった乳白色の外を見る
あれをやらなければならない
これもやらなければならないと思っていた
しかし、俺は怠惰な犬のようにうずくまっていた
朝、甘い菓子パンをいくつも腹に収めた俺は
ほとんど言葉を発することもなく
無意味なストーブ番の、この冬最後の勤めを終えたのだった
そして、なにもかもが糜爛していた

さきほどまでひたすら音を発していたヒーターは停止している
密かに何かに心を許し、無意味に口元を開き
しかし声を発しないのだ
電話の向こう側からひとつづつ灯が失せていて
何食わぬ顔で俺は負を受け入れている
ただ、軽い切迫感は消えていて
行方不明になっていた安堵が訪れている
そして
俺の螺子はすでに緩んでいて
黙って、ただ黄昏を求めている



自由詩 十六時 Copyright 山人 2025-03-19 05:07:05
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