憩う
夏井椋也


溜息を吐く
溜めた息をゆっくりと吐く
肩の力を抜いて
眉間を弛ませてみる
意識の枠を広げて
頬を緩めてみる

暮らしの端っこに腰かけて
できるだけ遠くを眺める
花と人々の向こう
雲と空のもっと向こう



ひとときの空っぽを
自分の中に見つけたら
ゆっくりと立ち上がり
ゆっくりと歩き出す

たとえば

急ぎ過ぎてしまった時
求め過ぎてしまった時

わたしはいつもここに来る

森の入口のような
街の死角のような
虹の起点のような
この場所で

ただの景色に成り果てるために



自由詩 憩う Copyright 夏井椋也 2025-03-15 13:44:22
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