愛のとなりで
そらの珊瑚

朝、
電線は
小鳥たちがさえずりあうところになった
声を投げかけてかえし
うけとめては投げかける
にぎやかないとなみ

ひかりさすほうへ小さなからだをむけて
羽毛に今日の熱をとりこんでいる
越えてきた夜はくらくてさむい
ついらくすれば
戻ってはこれない
だけどそれは
みんなに
最初から用意されている物語

小鳥たちの声をまねて
わたしもさえずってみる
交わされるうたの意味はわからないから
ただあたたかいむねのうちを伝えたい
そうきこえるような とびきりを

くちびるはくちばしに変わる
とてもとても
やわらかいくちばしに変わり
生きていることを
息づいている季節を
あてどなくついばむ

ときを惜しむようにふってくる羽毛が
わすれ雪のように
わたしをすりぬけていく




自由詩 愛のとなりで Copyright そらの珊瑚 2025-03-15 10:42:44
notebook Home