真実はどこ?
リつ

たった2駅のことだった。
電車で隣に座った男性から、膨大な愛の念が放たれ、私を包んだ。
私は驚かなかった。
お日さまの優しい光にいだかれているかのような安らぎと安堵があった。

目の前に高校生のカップルがやってきて、
彼女は彼に席を勧め、彼は座った。
彼女も座りたそうなのが分かった。
「ここ、どうぞ」
と、私は席を譲った。

立ち去りながら振り向くと、隣に座っていた男性と目があった。
それは、あなただった。
いや、ひとつだけ違うところがあった。
あなたが比較的背が高いのに対し、その男性は、女性と言っても不思議がないほどの中背だった。

その謎が、私は不思議だ。
顔はあなたなのに、背の高さが違う。

最初に恋をしたのは、間違いなく、あなた。
だけど、電車で隣に座ったのは、


本当に、あなたなの?


散文(批評随筆小説等) 真実はどこ? Copyright リつ 2025-03-15 01:12:09
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