コレクト・アー・コレクト
竜門勇気


野菜も食べなきゃ、パパは言った
野菜も食べるの、ママは言った
野菜は食べられるの?僕は言った
野菜は食べられるんだ、動物みたいに
今日、こんな何でもない朝に

ちょうどいい日なんだ
何もかもなくなっていくために

準備するための時間
囚人のようにつまらない顔をして

真新しいガードレールが道に増えてる
友だちが話してた
ここにもう一度食べ物を売る店が建って
そしてやがてまたドラッグストアになる
僕らはこんな話をしたことを忘れて
駐車場を突っ切って少しだけ近道をする

野菜も食べなきゃ、パパが言ったこと
野菜も食べるの、ママがしたこと
野菜はいつかなくなるかもしれない、このざまじゃ
今になくなる、いつかなくなる

ちょうどいい日なんだ
パパもママも
僕にまっすぐどこまでも行けと言って
肩から手を離す
さよならと言って口づけをする
すべてが終わり始めるための今日だ

真新しいガードレールが古びていた
ちぎれたインシュロックが落ちてた
しけたお知らせを包んだ
ラミネートされたA4のなにかのお知らせ
野菜はいつかなくなる
動物みたいにこれから

火曜日がこれから始まる
火曜日が始まる
火曜日が始まる



自由詩 コレクト・アー・コレクト Copyright 竜門勇気 2025-03-09 12:21:25
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