吐息
リリー

 山裾の丘陵地
 総合病院の裏出口から
 人通りすくない小道を往くと
 閑静な民家の中にログハウスも立ち並ぶ

 金網張られる路端に
 あかるんできた雨空をあおぐ朝顔が
 緩い風の懐であそんでいる
 その藍白の一輪へ
 歩みよって種を探した

 紫の花と絡まっているから
 蔓をつたって同じ色だと分かる実は
 どれも青い
 仕方なくしゃがみこんで
 砂地に落ちている大きい種を選んで拾う
 同じ色は、あるだろうか

 白い花片に見たこともない
 薄すぎる藍色が、溶けていて美しい!
 秋の午後に 限りなくつつましく在りながら
 しめった疲れのたわごとも
 吐きだして萎むのだろう
 白殺しの花

 もういちど、いつか
 立ち去る私のうちをゆきすぎる
 貴女のふかい息づかいに触れてみたい

 
 


自由詩 吐息 Copyright リリー 2024-12-04 11:59:45
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