The Morning of the Neon Demon Ⅳ
おまる
朝、窓を覗くとパラパラと雪が舞っていた
部屋は薄暗く光はほとんど入ってこない
暖をとるために薪で火を起こそうとしたが、
湿っていてうまくいかない、
何度試しても駄目だ
どうにもたまらなくなって、
それを見ているイソップにかまわず
あきらめてしまった。
うつむくイソップの後ろで
みぞれが大雪になっていた
家の外壁にトタン板を貼って風を防いでいる
寒さがじわじわ忍び寄ってきている
人も機械も冬の光の中でじっと耐えて、
再び動き出す時を静かに待っていた。
初雪が日の光で溶けた頃
干し場にある焼却炉の前で一人、佇んでいると
二人の少女が近づいてきて、
「あのーなにしてるんですか?」
「なにも」
「今ねぇこの子がねあなたのこと死ねって言ってたよ」
と”子供のふり”をして報告してきた。
もう片方の少し年長らしい少女は
くるりと背を向けていた
彼女はおさげにしていて髪の分け目がくっきり見える
この子供じみた正義感は不審者に、
近所の反感を伝えるという功を立てた
「あなたはどこかで見たことがあるね?そうだ......」
小さな人は途端に無表情になって後ずさりし、
二人とも逃げるように急いで去っていった。