落ち葉
夏井椋也


久しぶりに
馴染みの店に
掃き寄せられた
落ち葉の面々

互いの無事を
半ば涙目で喜びつつ
とりあえずハイボールで
万感をこめて乾杯する

真っ赤に出来上がるヤツ
いつまでも青いヤツ
中途半端にスカすヤツ
程好く虫に喰われているヤツ
たとえ枯れても落ちないマドンナ

ひとつひとつの
不確かな影も
集まって重なれば
景色になる

色とりどりの
酔いどれ落ち葉が
冷たい季節の波間を
ゆらゆら漂う




自由詩 落ち葉 Copyright 夏井椋也 2024-11-13 07:50:38
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