夢
レタス
二両編成の電車を降りて
乾いた白い路を真っ直ぐに進む
いったい何処へ行くのだろう
てくてく歩いてゆくと
荒波寄せる岸壁に聳える
古い灯台が観えてきた
ぼくは左腕に巻かれた包帯を
血が滴り落ちないように
結び直して入り口へと入っていった
螺旋階段を登り詰めると
ぼくの身長ほどの
ツルツルと磨かれた透明なレンズが遠くを見詰めていた
水平線の向こうには蜃気楼のような貨物船が浮いている
眺め飽きてきたので
灯台を降りようとしたぼくの左腕をカモメが突っついた
包帯が破れ血潮がじわりじわりと滲んできた
九十九段の階段をそろりそろりと降りてゆくうちに
ポタリポタリと血が滴り落ちて階段を濡らした
駅までは徒歩10分
ぼくは小走りに駅まで急いだ
やがて電車かやってきて病院のある街まで30分
ガタゴトガタゴト電車は走る
ポタリポタリと血が落ちる
駅を降りると猛ダッシュ
病院に駆け込むと医師はすぐに診てくれた
シュクシュクと傷を縫うこと20針
輸血をしなければ駄目だと言う
点滴の血液がポタリポタリと落ちてゆく
眠くなって眼が覚めた
此処は外科病棟ではなく精神科の病室だった
窓から陽射しが部屋を満たし
夢だと知った