ビオトープ
フユキヱリカ

さみしい唇が
のどに鈴を付けて
歩くたび揺れて鳴く

顔迄這い上がる地熱はゆらゆらと
蒸せかえる
濡れたアスファルトの匂い
空は墨青を垂らして


飼育箱の中は授乳室であった

眠り着いた決心は
悟られないように
悟られないように
唇に人差しゆびを
たてていたのにね

瞬きをして
雲間から
溢れた
千の

億の
想像は
螺旋状に
灰を降らせ

地を覆い隠す
いのちを創造し者よ


空白を埋め続けては
決して消えぬ日を
忘れはしないと
誓うてのひら

透かした赤
説き証す
偶像の
血は


交わることはなくても
また流されるのなら
それでもなお高く
熱く
焦がれるのだろう


そうして掲げた腕は
枝になり根を張り
産声を上げて
泣いてもいいと
許されて咲く花が
愛されて眠るのでもなく

あたしは
神様になりたかった


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自由詩 ビオトープ Copyright フユキヱリカ 2005-05-23 03:53:53
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