【渓流】 最終章 
レタス

午前3時に家を出て
ゲン担ぎのバイオリンソナタを聴きながら
捕らぬ狸の皮算用
今日で渓は閉ざされる
渓は水量が極度に減っていて
秘密のポイントも浅瀬になっていた
ピクリともアタリは無かった
燻製がとても作りたかったので
とにかく魚が欲しかった
思案の結果……
プライドをかなぐり捨てて有料釣り場に向かった
3500円を支払い
渓流から見放された釣り人たちが糸を垂れていた
混雑した間をかいくぐり
釣り場の奥へと移動した
何故か其処には釣り客はいなかった
とにかく一振り
すぐに竿がしなった
良型のニジマスだ!
その後も振り込む毎に竿がしなった
入れ食いだ……
これではまるで釣り堀のようだ
あっ!と言う間に
13尾釣ったので飽きてしまった
ちょうど12時で家路をたどる
チャイコフスキーの悲愴をかけて
今日を反省した……
プライドは何処へいったのやら
コンビニでバニラソフトを食べて
これで良かったのだと慰めた


自由詩 【渓流】 最終章  Copyright レタス 2024-09-30 20:12:12
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