お彼岸
そらの珊瑚

小さく咲いたバラは
小さく散っていく
はなびらは
真新しいももいろの紙石鹸みたいに
つややかなのに
一度も泡になることもかなわず
埋葬されないいのちだったもの
うつし世に迷い込んだ
黒いアゲハチョウが
熱風にさらされ
なにかいいたげに
うつらうつら
わたしのあとをついてくる

この夏はいつ終わるのだろう
片身くらいは終わってるのだろうか
やわらかくほどけかかった氷を噛む

ふるさとの森
あまたのこもれびは
空からやってきた飛び石
片足で飛んで踏む 
また飛んで
     踏む
そうやって
わたしもあとをついていく


自由詩 お彼岸 Copyright そらの珊瑚 2024-09-17 11:17:16
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