苺と海
atsuchan69

悪戯を刺した苺が波に沈み、
すると糸が穗先までピンと張った
弧を描くように竿が曲がり
命の鼓動が手元に ガツンと伝わる

竿を起こして夢を浮かせる
現実までは、あと数十センチだ
生きた夢が飛沫とともに激しく踊る
光と水が、水面で暴れて眩しい

夢の銀鱗が耀いている、
青く細長い尾鰭が美しかった
そして腰から上は女だった

手を握って掬いあげると
紅い唇の小さな針を外してやった
まさか人魚が釣れるなんて







自由詩 苺と海 Copyright atsuchan69 2024-08-12 06:06:57
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