【渓流】宝物
レタス

昨夜は午前2時に起き
奥深い渓へと向かった

午前5時頃に渓の入口に着き
身支度を整えて路の無い藪を掻き分け遡り
25cmのニジマスと20cmのヤマメを釣り上げ
今夜の夕餉はこれで良いと渓を下った

車を停めた河原に着き
深いポケットに忍ばせた刃渡り20cmのナイフが無いのに気付いた
名匠に懇願して鍛えてもらった業物だ
魚の腹に触れるだけでスパッと切れる
活〆をするには欠かせない刃物だ
もっと小さなナイフでも良いのだが
私はこの切れ味を好む

何処を探しても無い…
諦めようとしたがまだ午前7時を過ぎたばかりだ
無理だと知りながら渓の藪を遡り探すことにした
通って来たと思われる踏み跡をゆっくりと探すこと20分
まさか…
ウオールナットの鞘に収まったナイフが私を待っていた!
思わず狂喜乱舞した
このナイフとは何とも言えない縁があることを知る

早速ザックに仕舞込み
明日は革で鞘をベルトに通すように修繕することにした
ついでに幅20cm縦25cm厚み6cmの天然砥石で磨きあげよう
京都本山のとても大きな原石を譲り受け
私が削って砥石に仕上げた物だ

ホッコリとしたニジマスと繊細なヤマメの塩焼きで素麺を啜り
今夜はウイスキーで独り祝杯を挙げた



自由詩 【渓流】宝物 Copyright レタス 2024-07-26 23:33:47
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