夏祭り
海
帯の背中に団扇を挿して
下駄を鳴らす
屋台が並ぶ道は
人が溢れて賑やか
すみません、
ぶつかった人を見上げて
耳の先まで熱くなる
先輩、
よぉ、と言って
和かな所作でリンゴ飴をくれた
え、あ、
ありがとうございます
とは言えなかった
先輩の横から綺麗な女の人
真っ直ぐ見つめられて
俯いてしまった
先輩はまたな、と行ってしまう
先輩と手を繋いでいる女の人
二人の後ろ姿は
あっという間に人混みに隠れて
リンゴ飴を握りしめたまま
しばらく立ち尽くしていた
自由詩
夏祭り
Copyright
海
2024-07-24 19:13:07