完備 ver.2

まなざしの射程に入る
からだの一部。つまさき、へその緒、
暗い部屋をなめらかに浮遊する蛍を
捕まえようとしても、ゆびとゆびの間をすり抜け

まなざしの射程を抜ける
夜空のかけら。目を凝らしても見えない星と
生まれる前に出会った。いつか
異国のプラネタリウムで再開するだろう

あなたを光りで象る。愛せ、愛せよ、
わたくしの生活は
むせかえる土のにおいだとしても

まなざしの射程を撫でて 夜が明けるとき
点滅しながら隠れる金星
境界を越えて、やっぱり越えないで、でも少し越えてくれ


自由詩Copyright 完備 ver.2 2024-07-24 16:45:41
notebook Home