赤い髪
リリー
昔 暗い電柱の蔭に
鮮やかな口紅を咲かせていた女と
細くしまった腰をもった男との
悲しい抱擁を見た時
思わず浮かび出た詩は
美しかったけれど
月が厳しい弧を描く
夏の浜辺
波の響きに惹き込まれていく
女の歌声はハスキーヴォイス
潮風になびく赤い髪が
闇に溶けて
全て虚しくする瞬間を知った時、
掌に激しい光を放つ
この愛をどうする?
時に私を打ち倒し
時に私を喜びに震わせる
この光をどうする?
思い出という甘い世界の中で
再び私をめぐり始めた恋
でも あなたが傍に居ないので
光は天に昇りかねている
ただの幻覚であったのかも知れないと