味
由比良 倖
僕の中で三十億光年くらい遠くから、
汗が出てくる、気持ち悪い海の予感、
それから落ち着いた表情で、
肉を食べている、
それから壁紙の模様、
とにも、かくにも僕は生きていて、そもそも
震える僕の骨格の中に、
けっかんがあるのかたしかめたい、
けっかんがあるのか
けっかんがあるのかたしかめたい、
僕はバスケットボールを輪切りにしてた、
僕の心臓が満足しているのを、
僕はくらい海の中で感じていて、
右手側の虚空で、ノートは、
破れ続けていった、記憶、
記憶総量分の吐き気、
吐き気、棘、白い、悲哀と増幅のための、
根拠、神経の中で編まれていく布地の、
感触、
夜が来るとあなたは間違った過去の記憶のなかで、
僕の死角を認めるだろう。
全ての情報は、分割されてしまった、僕が妨げてしまった。
殺意、白衣、
抹消、
しんり、いんりつ、合意、
自己愛、
発症、無償、完結、合同、
分裂、……
卑屈にも僕は精神分析された僕を、多分あなたへ向ける凶器の、
唯一の正当な根拠としていた。
僕が死んだとき、誰か僕を食べてくれればいいと思う。
味がすればいいと思う。