停電期
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いまひとつ燭光が足らんのじゃないか
どれくらいと返事の代わりに訊かれ
冷めた皮膚が
透ける
はらり

吹き消してもっと
ください言ってトランク潰し倒れ臥し
吸いつくす限り
風に焼けたにおいを照らす
いつか何処か

真剣味に欠ける夏街の午後
ぼくらは飽きた会話の庭で
まるでなりたての恋人のように揺れあう

世界中が停電期
大気の濃さにやけに敏感になる
静かで暗い午後だった





自由詩 停電期 Copyright soft_machine 2024-06-21 18:10:28
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