好きだった人へ
花形新次

正義や真実を
信じて生きてきたから
人生が二度あればなんて
思わない
長くてもあと十数年の
残りの命も自分の生き方で
生きていくだけ

ただ、あのとき
あの人に好きだと言えなかったこと
それが、それだけが心に
引っかかっていて

もし、あの人が
生きていたなら
最後にそれだけは言いたくて

もう何も望みはないけれど
若かった頃の
あなたの涼しい横顔を
思い出す度に
涙が溢れてしまうのです



自由詩 好きだった人へ Copyright 花形新次 2024-06-16 21:58:29
notebook Home