coffee

その日 二人の間にあったのは
「愛」ではなく
「コーヒー」だった
しかしすでに冷めきっているという点では同じだ

彼が口付けたのは
「私」ではなく
「コーヒーカップ」だった
どんな味かはさておき ゆっくり味わえない点では同じだ

思えば、こんな風に
コーヒーを向かい合って飲んだのは初めてだ
これがまさか最初で最後になろうとはね
なんて思いながら 冷たいコーヒーを啜った


今日は同じ店でひとり
淹れたてのコーヒーを飲む
あれから半年経った
涼しい店内で熱いコーヒーを飲む

口に含んだら
あの時の苦い思い出が熱くよみがえる
まだ彼が好きなのだ と
ひとくち飲んで知ることになる


自由詩 coffee Copyright  2005-05-20 10:18:56
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