ただのみきや

眼いっぱい
ふるえる木洩れ日
ちいさな朱い鰭
息の仕方を忘れた朝に

滲む菖蒲
色香の移った骨抱いて
 影は濃く
  跪拝する
落涙に 蟻のもだえ
狂える記号たち

傷みの価値を口にするな
つまらぬ意味を模索するな
あばらに絡んだ古い布切れを
風は咥えてはなさなかった
ああ叢に隠れている
汗ばむ仔の匂い

死者をことばのように弄る手
過去へ夜へと興を灯しながら

小手毬に雀蜂
光散り影したたって
舌にふれた幻の
指先に
 こめられた盲信
         愛

雨あまく 
飲み干して
ほどく帯
跳ねる音
よどみなく
来ては去り
また迫り 退いて

ゆるめた絃に
ふと夜のよう
烏揚羽
瞬く間
緑の眼窟くぐりぬけ
逃げる 詩歌は 追うように


わたし
   墓
    死んだ
 わたし   鯨     
      雉 
     
     舌の上 
         蛍
      わたし
 藁人形
   わたし      
       釘 釘
     
     赤錆びた
   想い
     願い  
       煮立てられ 歌
              頬を噛む
            歌
       水のよう
   結び
     解けて
        歌
      はらわたに
       にじむ
   タ
    トゥー 
         苦しみの ほほえみの
             群れ
          出口求め
              燃え
            狂    う   
                   蝶  
                    蝶
                  蝶蝶  蝶 蝶
                    蝶 蝶 蝶蝶蝶 蝶
                蝶
                    蝶蝶 蝶  蝶  蝶
                      蝶  蝶
                   
                   蝶 蝶  蝶  蝶   蝶

              蝶   蝶   蝶       蝶  
        蝶  
            蝶            蝶

                蝶     蝶    蝶    蝶


           蝶
                        蝶         蝶
        
               
  (覗いている黄色い未来)


       
                            (2024年6月9日)


自由詩Copyright ただのみきや 2024-06-09 11:17:37
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