小さな冒険者
そらの珊瑚

ぎゅっとにぎった手のひらに伝わる金属の鎖の冷たさ
そっけない硬い木の座面
離してはだめだよ と降ってくる、声
靴底で蹴るとざらっとして土埃
膝で漕ぐたびに
行ったり来たり
ふりこはゆっくり大きくなって
何処かへ行くための
のりものではないけれど
のりものだった
ブランコの最先端で手を離せば
ざわめきは消え
からだは、物体、みたいに宙に放たれて
自由になるためののりもの
あの一瞬
あの季節


自由詩 小さな冒険者 Copyright そらの珊瑚 2024-05-26 14:43:03
notebook Home