メイストーム
そらの珊瑚

もうすぐ花火がはじまるぞ、と
キミが誘うから
ボクは藻の家から出た
どんよりした空を見上げる
まもなく雨粒が落ちてきて
はじけて円を描いて消えた
ひとつ、ふたつ、みっつ、
数えられたのは最初のほうだけ
あっという間に
数えきれない花火が爆発していく
いつもは静かな空が
今は不穏なにぎやかさに満ちていた

この空の上には本当の空があって
花火はそこからやってくるんだと
キミは胸びれで上を指す

さかなが生きていけないところ

銀色のうろこがざわつく
いつかキミはそこへ旅立って
もうここへは帰ってこない気がして


自由詩 メイストーム Copyright そらの珊瑚 2024-05-15 11:06:08
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