釣りをした日、雑誌
番田
時々川に行くと、僕は釣りをしている人を、そこで見かける。彼らは、仕掛けは投げずに、ヘチ釣りという釣りをしているようだった。川からは、音もなく辺りは静まっていたが、でも、時々屋形船が通り過ぎていく波が立っていた。目黒川で桜を見ている時も思ったが、都内では静かな場所というのは騒音に常にさいなまされてしまうようなのだ。よく知らないような連中がそこにボートでやってくる轟音がしていた。そう考えると、器を見ている時のような完全な静寂のような、そんな、静かな余韻に浸れる場所というのは、街はおろか現代の自然の中には、僕は、存在しないような気がする。そのようなことを考えながら、堤防の壁に触れると、切り出した石だと思っていた壁は、よく見ると強化プラスチックでできているようだった。潮風で劣化しないかと思ったが、そのような素材ではないという自信を確かに感じさせた。巨大なスズキが、水門付近から沖に向かって泳いでいく姿が見えた。日は、まだ、高い。空の上の方を途絶えること無く往来しているいくつもの車があった。僕は何投かルアーをそこに向かって投げて、そして、その場に座り込んでいた。
今日は雨が降っていた。自転車にかけたカバーが活躍しているのだろう。本屋の雑誌コーナーで手に取る本は、その時の興味を反映していると言える。多くの人には、読みたい雑誌も本も、今は少ないのかもしれない。多くはネットの中で読まれる情報になったからだ。しかし、最近は記事が有料化しているので、どのようなものを読むにしても、読むこと自体が難しくなってきている。