walk away
ホロウ・シカエルボク
街に隠れた風を探して
暑過ぎる空の名はブルー
コカ・コーラの看板の前で
昔好きだった子を思い出す
エジプトから来たパフォーマーが
ピラミッドの精霊を真似ている元ダイエーの廃ビル
僕は百円玉を投げて
彼の労力を称賛する
鳩たちが気前のいい誰かを探している
カラオケ屋のビジョンで地元の店が紹介されてる
アマチュアミュージシャンが作ったらしい
テーマソングが明る過ぎて鼻につく
バス停で目当てのバスに乗り込む大群はなぜかノスタルジー
小さな歩道橋はメイン道路の終わりを教えてくれる
アイス・コーヒーが飲みたいと思った
混ぜられないくらいに氷が詰め込まれたやつを
潰れた風俗の店が並ぶ通り
腐った木の臭いが立ち込めてる
欲望の行きつくところ
嘘をつく僕たちの死体
なにも入っていない六階建てのオフィスビルは
裏口から入ることが出来る
管理していた不動産が潰れて
警備していた会社も手を引いた
新しい店が繁華街の終わりで生まれようとしている
街の新陳代謝
あとどれだけこんな光景を目にしながら歩くのだろう
噛んでいたガムは味がなくなった
家に帰りつく直前の橋を渡る時
久しぶりに誰かに手紙を書こうと思った
内容なんて下らない挨拶でいい
川はアメーバのように光を飲み込んでいた