失伝説
塔野夏子



最初から廃墟だった場所で
最初から破片だった言葉を
拾い集め交わし合う
それは破片だから
時に自らを 誰かを
傷つけてしまう

しなやかで
すきとおる思惟で
編み上げられてゆくような
塔のイマージュばかり
いつまでも空をめざしている




自由詩 失伝説 Copyright 塔野夏子 2024-04-29 09:32:37
notebook Home 戻る