ペプシコーラの週末
ねことら



きらきらの泡のペプシコーラみたいな週末が、ぼくの身の上にまきちらされていた。映画館のアルバイトは忙しくて、深夜に帰宅したアパートでは雨漏り騒動があったし、スマホは調子が悪くてなんだか通知がうまく届かないかんじだ。くたびれた灰色の時間の束を記憶の隅にまとめて放り込んで、毛布にくるまってたらきみが訪ねてきた。いまから星を見に行こうだなんて、なんかの冗談かとおもったよ。彗星か、人工衛星か、そういうきれいな光の一群がぼくらの街の上を通り過ぎるのが今夜午前未明らしくて、いまはくしゃくしゃの髪のまま近くの山の上まで車を走らせてる。きみはネットフリックスでみた映画のあらすじを楽しそうにぼくにひたすら語ってくれている。ゆるい柑橘系の香水のかおりが車内には広がって、テールランプや街灯は流線型に伸びてびゅんびゅん外を流れていった。楽しいことばかりで楽しくて楽しくてしんじゃいそう、てきみがいうから、ぼくは、こっちは今日色々と大変だったんだよ、て口をとがらせて隣をみたけど、きみはきらきらした目で何があったの、てぼくの顔をのぞき込んでくる。すべての単位はたぶんぼくときみとの2個分で、このままくるくる光りながら遠くの方までずっと道を登っていくんだろう。まだ見たことのない彗星みたいな軌道をして。









自由詩 ペプシコーラの週末 Copyright ねことら 2024-04-21 08:50:35
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